大学院において奨学金を借りている人は少なくないでしょう。奨学金はあくまで借金であり、大学院を修了してから半年ほどが経過すると返済を迫られるようになります。以前は、教職など一部の職業に就いたものだけは奨学金の返還が免除されるという制度があったようですが、現在ではそんな制度は残っていません。
ですが、今でも奨学金の返還免除を狙う手段があります。それが大学院において優秀な成績を残すということです。ただ、ここでいう優秀な成績とは講義の単位などだけを指すわけではありません。大学院には大学院の“優秀な成績”というものがあります。
そこで、今回はどういった成績を残せば大学院での奨学金返還免除が狙えるのかをここでご紹介します。
返還免除を狙うための大前提
奨学金の返還免除を狙う上で大前提となるのが、第一種奨学金を借りているということです。第二種奨学金を利用している人は、そもそも返還免除の申請資格が無いのでご注意ください。逆に言えば、返還免除を狙うなら大学在学時点で第一種奨学金がもらいやすい大学院を狙う必要があるとも言えます。たとえば東大、京大といった旧帝国大学や早稲田、慶應といった有名私立を目指すことがそれにあたります。
基本的に有名大学ほど第一種奨学金がもらいやすいので、入学時点ですでに奨学金の返還免除のもらいやすさが決定しているとも言えるのです。
以前、「有名大学より地方の大学でのし上がった方がカッコいい」などと言っている人がいましたが、基本的に有名大学に入った方が、研究設備も資金力も各種補助金のもらいやすさも圧倒的に優れています。あえてリスキーな選択をする意味は皆無と言っていいので、もし大学生が読んでいれば、有名大学院への入学をお勧めします。
奨学金の返還免除を狙うために
奨学金の返還免除を狙うためには、その基準をまず知っておくべきです。だいたい、以下のような活動が評価基準に含まれます。
- 論文
- 学会発表
- 本等の著作物の執筆・補助
- 特許
- TA・RAなどの教育活動
- 成績
- ボランティア活動への参加
- スポーツ大会の成績
- 芸術作品の出品
- 受賞歴やメディア掲載歴
だいたい以上のところでしょうか。ボランティア活動への参加などは少し特殊で、学会や自分が選考する学問の発展への寄与をしたかどうかも尋ねられます。翻訳や大会運営補助など、学会へ貢献するボランティアなども、機会があれば積極的にやっておいて損はありません。
ちなみに、あくまで周囲の経験段ですが、論文にしろ学会発表にしろ、国内学会のものより国際学会のものの方が高く評価されるといいます。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、数十万の移動費、学会費を渋って返還免除を逃さないようにしてください。
また、私が所属していた大学院では、(成績は全部最高ランクであることが前提で)海外発表が1,2本あれば半額免除、 論文が1,2本あれば全額免除と言われていました。ボランティアやスポーツなど、他の分野で何も活動をしていない場合は、このぐらいが目安と言えるかもしれません。
とはいえ、大学院や研究分野、年度によってもこの基準は大きく変わってくると思うので、あくまで目安程度にとどめておいて下さい。
指導教官には好かれるように
重要なポイントとして、指導教官には好かれるようにしてください。たとえば、TAやRAの教育活動が返還免除の条件に含まれていることからも分かるように、TAをどれだけ手伝わせてもらったか、RAをどれだけやらせてもらったかがダイレクトに返還免除に影響してきます。それに、普段から密にコミュニケーションを取っていると、共同研究などの誘いも受けやすいでしょう。それ自体があなたの業績としても繋がりやすくなります。
もちろん円滑な研究活動のためには指導教官に好かれる必要があるのは当然ですが、教員との関係はあなたの大学院生活において大きな影響力を持っています。研究活動は1人でやるものではないという意識は常に持っておいた方がよいでしょう。