学会では口頭発表やポスター発表などといったように、いろいろな発表形式が存在しますが、まずほとんどの大学院生が一番最初に経験する発表形式はポスター発表でしょう。
大学院の先輩がたがポスター発表をするのが当たり前である大手の大学や、ポスター印刷もできる大型の印刷機などがある大学であれば問題はありませんが、初めての学会発表で周りに教員以外誰も頼れる人がいないといった環境では、どこで何をすればいいかも分からないはずです。
「問題→方法→結果→考察の順番で書く」といった内容や書き方については指導教官に聞いていただいたほうが良いですが、ここではパワーポイントでのポスターのフォーマットの調整の仕方や、ポスター印刷をどこに頼めばいいかなどをご紹介したいと思います。
ポスターとはどんなフォーマットで書かれているかを知っている方にとっては当たり前の内容になっているので、そういった方は読み飛ばしてくださってけっこうです。
ポスターのフォーマットはA0
学会によって多少のフォーマットの違いはあっても、基本的に多くの学会でポスター発表と言えば、A0サイズで作られたポスターを指すことが多いでしょう。もちろん、同じA0とは言っても縦書きなのか横書きなのかなど、学会によっていろいろと慣習も違う場合が多いのでご注意ください。学会のポスターを作るのに適したソフトなどもありますが、多くの学生が使っているのはたいていOfficeのPowerPointです。
フォーマットをちょちょいといじればすぐにA0サイズにも変えられ、PDF形式で保存できるので使い勝手も悪くありません。なにより、普段からプレゼンなどで使い慣れているので、抵抗なく大学院生も始められます。
PowerPointでA0サイズに調整する方法ですが、以下のサイトに詳しいので、そちらをご覧ください。ページ下部に白紙のテンプレートファイルも用意されているので、すぐに使えると思います。
学会ポスターの作り方
ちなみに、作業中にファイルを保存するときはpptxで保存しますが、データを入稿する時はできる限りPDFフファイル形式で保存してください。PDF以外の保存形式だと、データが崩れ、下手をすると文字や図が読み取れないこともあります。
入稿用データは必ずPDF形式で保存してください。
学会ポスターの印刷会社のおすすめは?
一応、学会ポスターを研究室の研究費で落とせるかどうかを指導教官に尋ねておいてください。もし研究費で落とせる場合は、生協で印刷してもらうのが最も効率的です。生協側も手順は分かっていますし、スムーズにポスター印刷をしてくれ、研究費の申請に必要な書類なども準備してくれます。
ただ、問題は研究費でポスター印刷ができなかったときです。小さな大学やあまり研究費の多くない文系分野などでは、むしろ自腹で払うことのほうが一般的かもしれません。
そんなときは、できるだけ安い印刷所、かつスピードが速く、より良いインクを使っている事業所に頼むようにしましょう。意外と生協は値段自体が安くないので、自腹の場合はあまりおすすめしません。
基本的に、多くの印刷所は翌営業日発送をウリにしているので、スピードでは差がつきにくいです。また、学会発表などの場合は高級なインクを使う必要もないので、これもあまり重視する必要がありません。
重要なのは値段です。
その点で言えば、私のおすすめは「PLEO」です。こちらのサイトでは、おおよそ2000円で一枚のポスターを印刷できます。送料の1000円を含めても3000円と、生協の8000円の半額以下の値段でポスター印刷することができます。
データの入稿は、先ほども述べたようにPDFファイルでの入稿がおすすめです。大事なポスターですから、できる限りデータの書式や図表が崩れないようなファイル形式を選びましょう。
紙と布の印刷はどちらが良いの?
また、ポスター印刷と言えば、紙で印刷する人と布で印刷する人に分かれるでしょう。紙の場合は安くすみますが、折り曲げることができず、筒などに入れて持ち運びしなければならないので扱いが面倒です。一方、布の場合は紙よりも値段が張りますが、多少折り曲げても織り目が付きにくいので、扱いやすいという特徴があります。
個人的な意見としては、国内学会であれば紙印刷で十分ですが、 国際学会はできるなら布印刷の方がいいでしょう。
国内の移動ぐらいであれば筒での移動も苦になりません。ですが、国家間を移動するときにポスターの入った筒を抱えていると、下手をすると空港で長時間の足止めを食らう可能性がありますし、実際にそういった例も報告されています。
それに国際学会では極力荷物を減らしたいというのが多くの人の心情でしょう。
最悪、布ポスターであれば畳んで荷物の中に入れておく事もできますし、国際学会の場合は布での印刷をおすすめしたいと思います。
もちろん、筒を空港職員に検閲されて、その中身を説明できるほど流暢に現地語が話せるのであれば筒でも構わないので、その場合はご自由にお選びください。